七割生活,とほほ

ちょっとニッチな分野の文系研究者による日々の感想とか,いろいろ

街メジロ

去年の12月、ベランダのパンジーあたりにメジロが姿を見せるので、空いた鉢にみかんを割ってだしてみた。
 即座に3羽のメジロがきて、完食。 
 この冬は暖冬とか言っていたがけっこう寒かったので、メジロたち冬のたべものがなかったらしく、かわいそうなので、毎日みかんを出す。うちはマンションの2階だが、一階には部屋がなくて駐車場とツツジの植え込みだけなのでふんの害はない。それにメジロのふんって実にささやかであった。その上ベランダのやや高いところに電線が張り巡らしてあって、メジロはそこに留まって見下ろしている。
 そのうちみかんを出す時期になると、メジロが集まるようになって、メジロの数も増えてきた。電線にならんでいるだけで6羽から8羽。どこから聞きつけてきたのか。メジロ同志で縄張り争いをして舞々しているので、蜜柑置き場を3カ所にした。みかんの消費の早いこと。
 みかんを出すとき「チュンチュンや〜〜〜♪」と呼んでいたら、一羽のチビメジロが賢くそれを覚え、「ちゅんちゅん!」と返事するようになったのでひいきにする。「ちゅんちゅんや?」「チィン・チィン」という具合である。ちゅんちゅんというスズメみたいな声は本来メジロの鳴き声にないから、まねしてくれるのである。かわいい。
 メジロはスズメより小さいトリだがそれにしてもこのチビメジロは小さい。最終的にカラダの大きなカップル、小さなカップル2組、シングルで小さいのが二羽を確認。ちびちゅんちゅんはシングルで小さいやつである。
 さらに1月観察していると、どうも大きいのは、このチビたちの親である可能性がでてきた。大きいメジロはチビがいると一生懸命追い払おうとする。なぜなのかとおもったら、チビメジロが羽根を震わせて「ご飯ちょうだい」ボーズをするのだ。親メジロとしては「この子!何時まで親ばなれしないのっ!」というところだろうか。必死で追い払っていた。
 2月、とうとうこの場所がヒヨドリにみつかり、あのトリのヤンキーみたいなヒヨがメジロを追っ払ってみかんを独り占めする。で、「ひよちゃんっ!」とどなると、きぃ〜〜〜〜と逃げていくという構図ができ、ヒヨが私を認識するようになった。もちろんヒヨのいないすきを狙って、メジロはくる。
 メジロだけではない。なんだか怪しいトリ、ヒヨよりは小さいがスズメよりでかいがくるので見張っているとツグミの仲間の渡り鳥シロハラだとわかった。つがいなのか2羽いる。『トリパン』のまんがのつぐみよろしく、地べた暮らしが好きで、くずになった蜜柑に身がついているのをおいておくとくずみかん専門でたべている。しらべて、バードケーキという牛脂、小麦粉、砂糖、小鳥の餌を混ぜただんごをつくってみると、シロハラさんはそれが気にいって、団子をがつがつ食う。メジロもつついているが、ともかくシロハラさんががつがつとたべる。不思議なことにヒヨはまるで興味なし。
 ということで、2月にはメジロ8羽、ヒヨ3羽、シロハラ2羽、それにウグイス1羽というのがフルメンバーとなった。
暖かくなったらみかんだしをやめる気なのだが、あるとき、夕方にきたウグイスがみかんの鉢の上で、うたた寝をしそのまま寝てしまったので、そーっとカーテンを引いたことがあった。考えればこのベランダは午後には暖かくなるし、雨も風も来ないし、静か、猫も来ないので、トリの中にはそのままねているらしく、それまでも夜になぜ、メジロのちるちるいう声がするのかとおもっていた。メジロ民宿と称することにした。
 2月末、一週間ほどシンガポールへ出張した。その間自然にまかせてこの機会にえさだしやめようかと思っていたが、母が毎日みかんを出してくれていたらしい。母の觥合の悪い日はパス。
 それで、シンガポールからかえってみると、「ゆうべ蜜柑なかった。餌ちょうだい、餌ちょうだい」とメジロ6羽が電線に留まって大騒ぎで鳴いており、ご近所にはずかし・・・。こっちがメジロの下僕と化している。
 それでも3月になってメジロがおやまにかえるまで〜〜〜とおもっていたら、このメジロども、山から来ているのではなくて、裏の別のビルのベランダにおいたけっこう大きな鉢植え複数が放置されて育っているそれなりの大きさの「森」というか「茂み」に普段いることが判明した。考えるに、親のメジロからそんなに遠くないところでここに集合するのがおかしい。たぶん、その茂みに親が巣をかけて、そこで育った子メジロが4羽くらいは居るのである。
 山のメジロではなくて街メジロなのだ。ということは、このまま居座ってしまう可能性も大。奴らにとっては、お家の茂みから一飛びでうちのベランダにくるわけでうちのベランダは「メジロのコンビニ」と化している。しかも、だんだん態度がでかくなって、こっちがガーデニングのためにバラの芽やハーブの様子をみていると、後ろで「ちゅりちゅりちーちー、ついーん」と鳴く声がして、わたしが邪魔しないようにそそくさと引っ込むという状態。ほぼメジロにベランダを占拠されている。
 また、シングルのヒヨドリが一羽、雨になるとうちのベランダでぼーーとする、という癖がついてしまい、お腹が減るとめの前のパンジーを花ごとたべてしまうので、こっちもこら〜〜〜!である。
 さて、そろそろみかんの季節も終わりで、あと3回分しかみかんがないので、そろそろ蜜柑だしをやめるべきか決断しないといけない。