七割生活,とほほ

ちょっとニッチな分野の文系研究者による日々の感想とか,いろいろ

陸路国境を越える タイ=マレーシア その2

今度はクランタン州からタイに車ではいってしまった時のことです。

 わたしはマレーシアで自動車の運転免許を取得したので、留学中は中古車を買って2年間のってましたし、かなりの悪路や洪水にも慣れてますので、いまでもレンタカーを空港で真っ先に借ります。行く先がいつも田舎の村巡りなので、バスなど悠長なものを待っていられません。それ以前は留学中にバイク(スーパーカブ)を借りてましたが、熱帯雨林でスコールがしょっちゅうきて、びしょ濡れになるので、車に変えました。それでも車の前が見えないホワイトアウトになるくらいの雨がふります。

 その日も、わたしはクランタン州に出かけて、ホテルに泊まりました。ちょうどハリラヤの前日(断食開け)なので、町は翌日の食事の用意のため、賑わっていました。そして翌日レンタカーが借りられるか聞いてみると、ほとんど出払っているとのこと。じゃあ、明日は町にいるしかないかと思っていたら空き車がでたというので借りました。

 翌日。クランタン州はムスリムが圧倒的に多く、しかもイスラーム規範が厳しい州でもあるので、ハリラヤのようなお祝いの時には、せいぜい花火が鳴るくらいで、あとはみなさま実家に帰ります。なので、市場もどこもみな休みです。街が静かなので、退屈で車でタイの国境まで行ってみました。

 国境の検問所のところまで行きましたが、だれもいません・・・。

え?と思いつつ、進みます。ここの向うにも免税店があるはずで、行ってみましたが免税店も閉まってます。なんとなーく車を運転して、タイ側はどうなってるのか?と思ったら、ここも人がいないし、いつもタイで厳重に警備をしている警察の検問所も人がいません。

 え?え?と思いつつそのまま進んでいたら、いつのまにかタイの中に入ってしまいました。すぐに農村になってしまったので、まあ、いけるところまでいってもいいか、と運転していきます。農村を通りかかると中東の大学から帰ってきた息子が両親に挨拶しているらしい光景(息子の格好がサウジアラビア風)が見えたりしまして、ともかくみなさま家の中にいるようです。このあたりは2004年からテロが再発してしょっちゅう警察の検問所が設けてあるのですが、肝心の警察官は一人もみません。車も殆どであいません。

 ので、タクバイの町まで出ちゃいました。ここも静かです。しかし2004年の10月だったかには大規模デモを警察が鎮圧して逮捕者400名のうち、大半がトラックに積み込まれ警察署に着いた時には圧死していて国際的にも大問題になった場所です。

そうでなくともこのナラティワートなどは毎日のように携帯電話による爆弾テロ、銃撃、放火が怒っていて危険地域です。しかし、やっているのがムスリムならこのイスラームの祝日で皆が待ち望んでいる時に大規模な爆弾テロなどやらかすわけがない、という妙な確信から一応タクバイの町をまわってみました。静かです。店も閉まっています。

 ここからどうしようか?先へいってもいいですが、なにしろ出国スタンプも入国スタンプもないので、まずいとおもい、ひきかえしました。1時間で国境に戻りました。

 そうするとマレーシア側の方に一人おっさんがいたので、あのー、スタンプチェックしないでいいのか?と聞くと、ぎょっとした様子で、裏へまわれっ!といいます。裏といっても同じブースの反対側ですが、素直に回りました。

 おっさんは、もち場所にいなかったこと、サボっていたことがバレるとまずいと思ったらしい。で、「おまえ、タイにいってないよな?」と同意を求める目をしますので、「うんうん」と同意し(冷や汗)「免税店に1時間ほどいたんだよな?」「うんうん」ということで同意が成立し、おっさんは一応免税店に行ったというスタンプをおしてくれまして、わたしはマレーシアのクランタン州コタバルに戻りました。

 テロやってるというのに、なんちゅうゆるい警備や。タイ側ではまったく人をみませんでしたし。

 まあ、いろいろな国の陸路国境通過を経験しましたが、ここはあかんでしょう。